レンズの虫メガネ

日記・雑記や趣味の魚釣り、仕事のこと、持病のクローン病のこと、など何でも書きます。

大人の流儀を読んで思うこと。

こんばんは。

今日は伊集院静さんの著書「大人の流儀」を読み終えたので、感想を書きたいと思います。

読むと表現しましたが、オーディアブックで聞きましたので、正確には聴いた感想です。

 

 

まず、古き良き時代の大人を匂わせるフレーズが飛び交います。自分のことをひけらかすな、相手の事情を察してやれ、金に振り回されるな、人に優しくあれ、そして、最も大切な人を失った時に。

大人として、どう生き、どう周りの方々と接し、繋がりを大切にして、社会の中で調和しならが生きていくか、など生き方というか大人の在り方を語られており、また、現代日本で忘れ去られつつある日本人の優しい心使いを嘆く箇所などあり、大人として一読して損わない一冊です。

昨今、私も思うことがあります。

自分さえ良ければいい

という人が増えすぎたのではないかと。これは自分という一個人だけに限定される場合もあれば、自分の周囲の人、例えば家族、友人、恋人など自分と関わりのある人を指す場合もあるのですが、自分を中心とした親族・自分に得がある人だけを人とみて、ほかかの人・その他大勢は、家畜のごとく扱う人が増えたと思う。

もちろん、人の心が荒んだだけではないと思います。

時代の流れもあります。バブル崩壊以降、日本は長い長い不況に苦しんでいます。今はアベノミクスとかいう景気らしいですが、皆さん実感ありますか。ないでしょう。

ほんの一握りの人たちだけが得をしているのが今の日本の現状で、弱者は悲しいくらいどこまでも弱い。自力で這い上がるスペースは、ユーチューバーなどのネットの世界にしかなく、ネットに活路を見出す人は多い。そのせいで、ユーチューバーなどを見ればわかると思うのですが、激戦です。本当に実力のあるごく一部しか這い上がれていないのが現状だ。

日本社会に目を向ければ、どこもかしこも学力一辺倒の新卒一斉採用を行い、それ以外の中小企業は親族で上層部がガッチリと固められている。夢も希望も、這い上がるスペースもなく、学校という一方的に押し付けられたルールの中で生きることができず、レールから一度外れてしまえば、行き先は富士の樹海しかない。

おまけに、富士の樹海は外国人ユーチューバーが面白半分で動画を撮影しにきて、首吊り遺体を見つけて大騒ぎ、そして

遺体の目の前でジョークを連発

しているではないですか。悔しくないだろうか。同じ日本人が、勉強ができないというだけで、首を釣らなければいけなく、その首吊りをした遺体を見て外国人ユーチューバーが喜んでいる。なんだこの現状は。こんな国で誰が幸福になれるというのですか。

そんなことをこの1冊を読んで考えました。人一人の人生は幸福というのは決して軽くない。1日2日でどうこうなる話でもないのだが、学力一辺倒の社会制度を抜本的に変えない限り富士の樹海へ遺体見学へくる外国人は減らないだろう。それを観光にするというなら、この国にもう未来はないだろう。

 

著者は、

大人の格好をして子供が増えた

とも書かれていらっしゃる。大人とはなんだと思いますか。20歳になったら大人ですか。選挙権があれば大人ですか。酒の味がわかれば大人ですか。

私が思う大人は、他人を思いやることができる人が大人だと思います。そんなの当たり前じゃないかという人もいるでしょう。でも、思いやりのある人ってあなたの周りにいますか?間違いなく少数ですよね?

著者曰く、

昔は10人に一人くらいは真っ当な大人が居た

そうです。今はどうでしょうか。50人に一人もいないように感じます。何よりもひどいと思うのが、50代後半から60代前半までの層の人たち。バブルの湯水を飲み干した人たちなのですが、動言がひどい。私一人がいうのであれば、勘違いか、たまたま周りの人がそうなのか、というところですが、そうじゃないのです。70代の方と40代の方がいうのです。

70代の方曰く、

60代であれば、若い世代に立派な大人の背中を見せなければいけない世代だ。お手本として。しかし、礼儀がなっていない。よほど今の若者の方が礼儀正しい。

と。70年という人生の荒波を越えてきた方の言葉は重みが違います。自分が見せてもらった必死に生きる大人の背中を今度は自分が下の世代へ見せる。それこそ、日本人が積み重ねてきた美徳ではないのかと、おっしゃられております。

思わず頭が下がる思いでした。相手への敬意とは、相手が年上とか年下とか関係なんだなっと感じたことを思い出しました。この男は凄い。という一念で自然と頭が下がるものなんです。

他人に対して「礼儀知らず」と言う人は、本人がなんの威厳なく、滲み出るような信念もないから、私は自然と頭を下げられることがないつまらない人間ですよっとアピールしているようなものなんですね。

10人に一人か、100人に一人か、私にはわかりませんが、私自身が真っ当な大人になるためにこれからも思いやりの心を忘れずに生きたいと思いました。

 

話があっちこっちに飛びながらでしたが、これで終わりにしたいと思います。

真の大人になりたい人にぜひ読んで欲しい1冊です。